・第一位(139票)
ありがとう その一言が エネルギー
善光寺のハトポッポ (長野県長野市)
・第二位(124票)
「入れやすい?」 どこに行っても ポスト見る
28号 (奈良県奈良市)
・第三位(118票)
また吠える そろそろ私 覚えてよ!
戌年生まれ (長野県諏訪市)
・第四位(116票)
待って雨! 配りきるまで もう少し
こばち (長野県塩尻市)
・第五位(108票)
吠えんなよ お前もこわいか? 俺もこわい!!
犬 注意 (山梨県中央市)
作品とはなんでもそうであるが、まずは作者の人柄や主張が読み手に良くわかることが大事であると思う。
ポスティング川柳では、配布員の皆さんが日ごろ抱いている共通の「思い」が大いに表れているような句が、票を得ていると言える。投票権をもつ多くの方が、作者の動きや心情、季節や時間、そのときの情景などを明らかにしてほしいのではないだろうか。
今回の入賞10句は、いずれもそのような機微をよく表している。私自身の経験と重なる句も多い。
1位の「ありがとう その一言が エネルギー」については、「エネルギー」という言葉の力強さが、配布への強い意欲と責任感を感じさせる。これが「燃料だ」や「活力だ」になると、ここまで票を集められたかどうか定かではない。
犬に関わる句も2つ選ばれていた。ポスティングと犬は、切っても切れない関係にある。「また吠える そろそろ私 覚えてよ!」この犬は、配布員を歓迎して挨拶しているとも取れる。「吠えんなよ お前もこわいか? 俺もこわい!!」こちらは互いに警戒し合っている状況が目に浮かんできて面白い。
入選こそ逃したが、川柳の特徴でもある社会性が滲んでいる作品、「ポストどこ? 教えてくれた 小さな手」が心に響いた。「人を見たら泥棒と思え」というような躾ではなく、人の優しさを育んでいる家庭の様子まで想像できるのだ。こんな温かい社会で、ポスティングがより身近で一般的な仕事になっていくことを願う。
内山 澄孝 氏 (2017年2月 上田にて)